音楽療法に適した楽器というものは、特にあるのでしょうか。楽器と言っても、カスタネット、ピアノ、パーカッション、タンバリン、マラカスといった、日常、普通に使用している楽器や、バケツ、しゃもじなど、日用品を利用した、手作りの音の出る道具などでも、全く構いません。
ただし、あくまでも、「音楽」を中心にしたアプローチなので、きれいな音色の楽器を使用することで、より一層心に響くということは考えられます。相手が、「なんだろう」と興味を覚えるような楽器を仕掛けるのもよいとされています。さらに、障害を持った方や、高齢者などのためには、トレーニングに使用する際は、楽器を扱いやすい工夫をするよう考えることも必要です。
例えばハンディカスタ、ハンディマラカス、ハンディウッドなどは、持ち手の所に籐が巻いてあり、滑りにくく、かつ握り易くて、簡単に演奏ができる構造になっています。他にも、振ることで、その振動が直接指や手に感じられ、聴覚に障害があったり、聴覚に自信がないような人も、充分楽しむことが出来るようなものもあります。
ハンディカスタは、フラメンコのようなリズムが出せて、好評です。また、ツリーチャイムバーが吊り下げられており、美しい音色の楽器なので、触れるだけで音が鳴らすことが可能で、少しの動きで操作することができるので、身体機能の障害が重症の方でも、楽しむことができます。
楽器によって、残響に差もありますので、対象者を想定しながら、実際に音を鳴らしてみたりしながら、慎重に選ぶことも大切でしょう。楽曲の中では、効果音としてもよく使われています。
他にも、グリッサンドというものもあります。演奏することで、例えば、半側空間無視の障害などを持つ人などは、対象者の左右の意識の巾を広げることにつながると言われています。また、傾けると波の音がするオーシャンドラムは、小豆をもろ蓋の上にのせて傾けるとする音に似ていて、夏の海の思い出を回想するにはピッタリの楽器です。傾け方によっては、歌のイメージに合った波の音が表現でき、腕の操作のトレーニングにもなります。持ちにくい場合は、取ってをつけて、持ちやすいものを注文できるというところもあります。このように、対象者に合った楽器を選んで活用するようにすると、より高い効果が期待できるでしょう。
好きな音楽を聴いていると、楽しい気持ちになったり、スッキリした気持ちになったというような経験は誰にでもあると思います。音楽には、不思議な力が秘められています。この力を最大限に利用し心身共に健康に導いていく治療法のことを、音楽療法とよんでいます。また、音楽を聴くだけでなくて楽器を弾いてみたり、歌を歌ってみたりすることなども音楽療法に含まれます。
音楽療法は、最近では、いろいろな医療現場において、取り入られています。そして大変注目されている治療法の1つです。音楽が癒しに使われた歴史は、かなり古くさかのぼります。3000年前のユダヤ王サウルのうつ病を、ダビデという羊飼いの若者が、ハーブの調べで治したことは、現代でも語り継がれているお話なのです。古代ギリシャのアリストテレスは、音楽には身体に溜まった悩みやもやもやを吐き出してスッキリさせる効果があることを発見し、カタルシス効果と名付けていました。
また、中世時代においてはいろいろな面で、キリスト教に強く支配されていた時代です。病気に対する考え方も同様でした。それがルネッサンス期に移行してから画家達による解剖図といった美術と医療、そして坐骨神経痛の患者の患部の上で、フルートを演奏して治癒したというように音楽の総合的な活動が注目され始めます。近代では、音楽療法の主役は、アメリカへと移りました。その当時の大統領のジョージワシントンも音楽療法に興味を示しており軍隊などにも使われ始めました。現代では、医療において、軍隊だけでなくて精神疾患をもつ患者のレクリエーションとして利用されています。