音楽療法とは、音楽の持つ生理的、心理的、社会的働きを活用することで、心身の障害の回復や、機能の維持改善、その他、生活の質の向上、行動の変容などを目的に、音楽を意図的、計画的に使用することを意味します。ただし、単にBGMとして流すというだけではなく、認知症(痴呆症)高齢者、精神障害者、交通事故などによる脳障害後遺症を持つ患者や、脳性まひ、小児まひ、自閉症児・者に対して、音楽を介して、コミュニケーションを図っていく心理療法です。
交通事故などによる脳障害などで、脳が機能しているかどうかが不明で、コミュニケーションも全くできない状態の患者に対して、演奏を聴かせたり、歌を歌って聞かせたりするといった音楽療法が行われ、コミニュケーションがはかられます。こうした、音楽を用いたリハビリテーションなどのセラピーを担う専門家が、音楽療法士です。
この資格は、日本音楽療法学会が、独自の認定規則により、書類審査と面接試験の二つの試験によって、審査を行って認定している民間の資格です。他にも、音楽療法士養成コースを持つ認定校を卒業すれば、認定音楽療法士補、認定試験合格後から3年間、音楽療法活動の臨床経験を積むと、学会の審査を経て、正式に音楽療法士と認定されるという方法もあります。
平成22(2010)年度からは、新しい審査体制に変わるそうです。現在は、「音楽療法士補」を取得しなくても受験が可能ですが、平成23(2011)年度以降からは、必ず、音楽療法士補の資格を取得していないと、審査申請ができなくなってしまう予定だそうです。また、この資格は、5年に一度、更新する必要があります。
音楽療法士の資格は、日本音楽療法学会だけでなく、大学や専門学校にも卒業をすると、音楽療法士を認定しているところや、岐阜県、兵庫県などのように、地域限定で認定しているところもいくつかあります。資格取得後の就職先は、精神科病院や一般病院のリハビリテーションセンターを始め、養護学校、小学校、中学校の養護学級などの学校関係や、老人保健施設など、高齢者施設など、活躍の場は幅広くあります。
しかし、音楽療法士の認定ができてから、あまり年月はたっておらず、資格の認知度や、音楽療法自体の成果についての認知度もまだ低いため、国家資格ではありません。そのため、現在は、資格認定を受けても、ボランティアが主な活動であり、就職については、今の所、なかなか難しいのが現状です。
しかし、音楽という、人々の生活において、身近でなじみやすいものを用いて、セラピーやリハビリを行う音楽療法は、その成果が、多くの人に正当に評価されるようになることで、急速に普及するものと考えられます。
身近な音楽のなかで、優れた癒し効果を得ることができるもののなかには、モーツァルトがあります。実は、モーツァルトは感覚的に脳を活性化することのできる音を組み合わせた癒しの音楽を作曲することのできたとても少ない天才のひとりといわれています。モーツァルトの音楽で素晴らしいところは、脳がさえた状態であってもリラクゼーションに導くことができるということです。勉強や仕事の能率が悪くてどうしたらいいのか悩んでいるという人は、モーツァルトの音楽を聴いてみるとよいかもしれませんよ。
癒しの音楽を聴くためにはヘッドフォンとポータブルCDがあれば、いつでもどこでも音楽療法を実践することができます。ヘッドフォンを使ったほうがよいとされているのは音楽療法用に作られている高品質の音楽の場合です。もともとBGMを目的として作られている環境音楽は、ヘッドフォンで聴く必要はないようです。
音楽療法用のCDの場合にはヘッドフォンを使うことによって音楽の影響をより強く感じることができます。そのため音楽療法の効果があがるのです。耳をすっぽりと覆って雑音をシャットアウトするタイプのものをつかうとよいでしょう。耳にはめ込むタイプのヘッドフォンやイヤホンなどは音楽療法には不向きです。また雑音の入りやすいコードレスなどもあまり良いとはいえません。音楽療法をおこなうのであればなるべく質のいいものを選んだほうが良いかもしれません。
音楽で癒しを求めるということはよく言われているようですが、その時にどのような音楽を選ぶのか、そしてどのような聴き方をするかによって効果の現れ方に差が出てくるそうです。最近では、リラクゼーションを目的で音楽を聴くという人がずいぶん増えてきたようです。けれども、音楽から十分な癒しの効果を得るためには、音楽の選び方や使い方がとても大切になってくるということを知らない人のほうが多いようです。
癒し系の音楽といえば、一般的にBGMのような感じに使う方のほうが多いようですが、脳の活性効果をねらう場合は適当な音楽を流しっぱなしで聴くよりも音楽療法用のCDを選んである期間に集中して聴くことが大切のようです。脳波にはγ(ガンマ)波、β(ベータ)波、α(アルファ)波、θ(シータ)波、δ(デルタ)波の5つの種類があり、リラックスしたい場合にはアルファ波に脳波を導くとよいでしょう。
一般に販売されている音楽療法用のCDもこのようなタイプが圧倒的に多いです。その中には、独自の方法をつかってアルファ波だけではなくてシータ波に導くものもあります。それは長く聴いているうちに脳の緊張が解けていき集中力を増進させたり、記憶力を高めるといった効果を期待することもできるといわれています。
◆5つの脳波とその性質について
・γ(ガンマ)波 30ヘルツ以上 怒りを感じていたり興奮をしているとき
・β(ベータ)波 14~30ヘルツ 緊張していたり警戒しているとき
・α(アルファ)波 8~14ヘルツ リラックスしているとき、集中しているとき
・θ(シータ)波 4~8ヘルツ 浅い睡りの状態のとき、瞑想しているとき
・δ(デルタ)波 0.5~4ヘルツ 深い睡眠に入っているときや無意識の状態
認知症を緩和するケア方法というものがあります。その中に音楽療法などがあり、定期的におこなっているところもあります。音楽療法の先生がピアノ演奏などをおこなって老人ホームなどに入居されているかたが音楽を楽しむというスタイルです。
音楽療法は音楽の先生と精神科の先生が協力することによってできる療法で、音楽の先生のピアノの演奏にあわせて懐かしい歌を歌ったりすることもできます。また歌にあわせてボールでたのしんだり打楽器をつかってリズムをとったりするというプログラムです。音楽やリズムをつかって記憶をよみがえらせるといった効果もあるそうです。
また、音楽療法に参加する入居者のかたたちが一緒に体験することによって仲間意識などもうまれてきます。普段よりもコミュニケーションが取りやすくなるのではないでしょうか。何度か体験していくうちに明るい表情で楽しんでいる様子もわかってくるようです。リズム感も養われますので音楽療法が楽しくなってきますよね。
他にもスウェーデンの音楽療法の専門家をまねいた音楽療法のプログラムなども開催されることがあります。専門家のかたはステン・ブンネ氏で、独自の手法をもって開発された音楽療法をつかっており音楽療法の分野では第一人者のようです。ブンネ法とよばれる音楽療法は基本的な人間が持つ能力や昨日を保持したり促進させたりする効果があります。