フリースクールを開講した当初から、「音楽」を、活動の1つに組み込むことに決めていました。高校時代からロックバンドを組んでいた僕は、音楽の与える歓びや、生きる力、音楽療法的な効果も、自ら強く実感していました。スクールで最初の「音楽」の時間は、友達のドラマーが講師の担当でした。自由参加ではありましたが、ドラムをやりたいと参加した子供たち全員の顔が、緊張でこわばっていました。
皆さんは、自分が学生時代に受けてきた音楽の授業での緊張感を、憶えていらっしゃるでしょうか。緊張してしまうと、先生が何度も「音楽は音を楽しむこと」なんて言っても、何ひとつ楽しくなかったのではないかと思います。
そこで、パーカッションの講師と相談し、翌週からは、ドラムの個人レッスン希望者だけの参加としました。参加者はさらに減りましたが、時が経つにつれて、変化が起こってきました。ドラムを習いたい子だけではなく、スクール主催のイベントで演奏に参加したいと希望する子も増えてきたのです。
もともとスクールのスタッフや講師だけがバンド演奏をしていましたが、一人が参加すると、その楽しそうな様子を見たせいか、一人また一人と、参加者が増え、ドラム以外にも、様々なパートが増えていきました。現在では、約20人ものスクール生が、バンド活動をしているそうです。
不登校生、精神疾患患者、障害者など、それぞれに傷を抱えた子達が、伸び伸びと音楽を楽しみ、百人以上の人たちの前で、堂々と演奏するようにまでなりました。音楽の力は、やっぱり凄いと改めて感じました。音楽は、演奏する人の性格やあらゆる特質を反映しますが、そういう意味でも音楽は面白いものです。最近では、音楽療法が学問的に研究されたりもしているそうです。
そういう時に、忘れてはならないことは、音楽は、治療の手段である前に、楽しむためのものであるということです。これは、教育現場における音楽のあり方についても言えることです。音を楽しむという大切なことを忘れずにいれば、音楽療法も、今後ますます発展することでしょう。
身近な音楽のなかで、優れた癒し効果を得ることができるもののなかには、モーツァルトがあります。実は、モーツァルトは感覚的に脳を活性化することのできる音を組み合わせた癒しの音楽を作曲することのできたとても少ない天才のひとりといわれています。モーツァルトの音楽で素晴らしいところは、脳がさえた状態であってもリラクゼーションに導くことができるということです。勉強や仕事の能率が悪くてどうしたらいいのか悩んでいるという人は、モーツァルトの音楽を聴いてみるとよいかもしれませんよ。
癒しの音楽を聴くためにはヘッドフォンとポータブルCDがあれば、いつでもどこでも音楽療法を実践することができます。ヘッドフォンを使ったほうがよいとされているのは音楽療法用に作られている高品質の音楽の場合です。もともとBGMを目的として作られている環境音楽は、ヘッドフォンで聴く必要はないようです。
音楽療法用のCDの場合にはヘッドフォンを使うことによって音楽の影響をより強く感じることができます。そのため音楽療法の効果があがるのです。耳をすっぽりと覆って雑音をシャットアウトするタイプのものをつかうとよいでしょう。耳にはめ込むタイプのヘッドフォンやイヤホンなどは音楽療法には不向きです。また雑音の入りやすいコードレスなどもあまり良いとはいえません。音楽療法をおこなうのであればなるべく質のいいものを選んだほうが良いかもしれません。
音楽で癒しを求めるということはよく言われているようですが、その時にどのような音楽を選ぶのか、そしてどのような聴き方をするかによって効果の現れ方に差が出てくるそうです。最近では、リラクゼーションを目的で音楽を聴くという人がずいぶん増えてきたようです。けれども、音楽から十分な癒しの効果を得るためには、音楽の選び方や使い方がとても大切になってくるということを知らない人のほうが多いようです。
癒し系の音楽といえば、一般的にBGMのような感じに使う方のほうが多いようですが、脳の活性効果をねらう場合は適当な音楽を流しっぱなしで聴くよりも音楽療法用のCDを選んである期間に集中して聴くことが大切のようです。脳波にはγ(ガンマ)波、β(ベータ)波、α(アルファ)波、θ(シータ)波、δ(デルタ)波の5つの種類があり、リラックスしたい場合にはアルファ波に脳波を導くとよいでしょう。
一般に販売されている音楽療法用のCDもこのようなタイプが圧倒的に多いです。その中には、独自の方法をつかってアルファ波だけではなくてシータ波に導くものもあります。それは長く聴いているうちに脳の緊張が解けていき集中力を増進させたり、記憶力を高めるといった効果を期待することもできるといわれています。
◆5つの脳波とその性質について
・γ(ガンマ)波 30ヘルツ以上 怒りを感じていたり興奮をしているとき
・β(ベータ)波 14~30ヘルツ 緊張していたり警戒しているとき
・α(アルファ)波 8~14ヘルツ リラックスしているとき、集中しているとき
・θ(シータ)波 4~8ヘルツ 浅い睡りの状態のとき、瞑想しているとき
・δ(デルタ)波 0.5~4ヘルツ 深い睡眠に入っているときや無意識の状態
認知症を緩和するケア方法というものがあります。その中に音楽療法などがあり、定期的におこなっているところもあります。音楽療法の先生がピアノ演奏などをおこなって老人ホームなどに入居されているかたが音楽を楽しむというスタイルです。
音楽療法は音楽の先生と精神科の先生が協力することによってできる療法で、音楽の先生のピアノの演奏にあわせて懐かしい歌を歌ったりすることもできます。また歌にあわせてボールでたのしんだり打楽器をつかってリズムをとったりするというプログラムです。音楽やリズムをつかって記憶をよみがえらせるといった効果もあるそうです。
また、音楽療法に参加する入居者のかたたちが一緒に体験することによって仲間意識などもうまれてきます。普段よりもコミュニケーションが取りやすくなるのではないでしょうか。何度か体験していくうちに明るい表情で楽しんでいる様子もわかってくるようです。リズム感も養われますので音楽療法が楽しくなってきますよね。
他にもスウェーデンの音楽療法の専門家をまねいた音楽療法のプログラムなども開催されることがあります。専門家のかたはステン・ブンネ氏で、独自の手法をもって開発された音楽療法をつかっており音楽療法の分野では第一人者のようです。ブンネ法とよばれる音楽療法は基本的な人間が持つ能力や昨日を保持したり促進させたりする効果があります。