音楽療法の効果を検証してみると痴呆症状が改善されるということがわかっています。音楽療法を定期的におこなうことによって効果がかなり期待できるようです。99年に老健の高齢者を対象にして実施された調査によると週に3日、音楽療法をおこなってみたところ、「徘徊」や「睡眠障害」などの症状に悩んでいるお年よりの方、15人のうち14人に改善点が見られたそうです。それでは、なぜ、音楽療法は痴呆に効き目があるのでしょうか。音楽療法のプログラムでは、歌いながらリズムに合わせて手や指を動かします。そして振りつけをしたり、楽器を使ったりする工夫もしています。指先や手首、身体の動きにより脳の神経細胞が刺激されるということになります。
また、昼間に音楽療法によってこのようなケアをおこなうことで、乱れたサーカディアンリズムが正しくなっていきます。昼間、眠ってしまいがちなお年よりは、夜になるとなかなか寝付けずに、徘徊をしてしまったりせん妄に陥るケースもあるようです。このような現象は、昼間に活動することによって防ぐことが可能です。サーカディアンリズムとは生体に内在している毎日のリズムのことなのです。
痴呆の原因としては、「アルツハイマー」と「脳血管障害」という2つの病気があることがわかっています。けれども実際には、無気力状態から寝たきりとなってしまいだんだんと会話や表情を失っていくという「病因なき痴呆症状」のかたも意外と多いのです。このような方々の場合には音楽療法がよい刺激となりますので痴呆の改善につながりやすいようです。
好きな音楽を聴いていると、楽しい気持ちになったり、スッキリした気持ちになったというような経験は誰にでもあると思います。音楽には、不思議な力が秘められています。この力を最大限に利用し心身共に健康に導いていく治療法のことを、音楽療法とよんでいます。また、音楽を聴くだけでなくて楽器を弾いてみたり、歌を歌ってみたりすることなども音楽療法に含まれます。
音楽療法は、最近では、いろいろな医療現場において、取り入られています。そして大変注目されている治療法の1つです。音楽が癒しに使われた歴史は、かなり古くさかのぼります。3000年前のユダヤ王サウルのうつ病を、ダビデという羊飼いの若者が、ハーブの調べで治したことは、現代でも語り継がれているお話なのです。古代ギリシャのアリストテレスは、音楽には身体に溜まった悩みやもやもやを吐き出してスッキリさせる効果があることを発見し、カタルシス効果と名付けていました。
また、中世時代においてはいろいろな面で、キリスト教に強く支配されていた時代です。病気に対する考え方も同様でした。それがルネッサンス期に移行してから画家達による解剖図といった美術と医療、そして坐骨神経痛の患者の患部の上で、フルートを演奏して治癒したというように音楽の総合的な活動が注目され始めます。近代では、音楽療法の主役は、アメリカへと移りました。その当時の大統領のジョージワシントンも音楽療法に興味を示しており軍隊などにも使われ始めました。現代では、医療において、軍隊だけでなくて精神疾患をもつ患者のレクリエーションとして利用されています。