音楽療法の役割
音楽療法とは、最近、日本でも、医療の現場などにも取り入れ始めた療法です。人々の生活の中で、必要とされている音楽を利用して、痴呆症や障害を持った子供達の症状の悪化を防いだり、改善していくという心理療法です。
ホスピス・ケアの生活の中では、音楽の意味するところは大きく、生活に、非常に大きな影響があると考えられます。皆さんには、これまで生きたきた人生の中で、楽しかったことや、嬉しかったことの中で、それぞれに思い出す音やメロディーがあると思います。
ホスピスに居る患者さん達も、同じです。思い出の音や、メロディーがあります。それを、生命の危機的状態にある中で思い出すことは、旅立ちの時に、大きな癒しになるだろうとされています。
しかし、現在の日本で、末期がんの患者さんの現場は、非常に短い時間に限られています。その中で、音楽を通してケアするということは、患者さんが望むタイミングで、音楽療法が提供でき、その療法をまた患者さんが受けてくれるかそうかなども問題になってきます。ホスピスを利用されている、がん患者さんは、平均在院日数が、一ヶ月前後です。そして、入院患者さんの半分以上は、一ヶ月以内の入院で死亡退院してしまいます。
従って、ホスピスだけではなく、緩和ケア病棟での音楽療法として、患者さんの治療に関わる期間は、わずか2〜3週間ですが、通常1〜2週間に一度の療法では、実際に患者さんとかかわれる回数は、1〜2回程度になってしまい、これでは十分な療法を提供する事は難しいとされています。
ホスピスケアにおける音楽療法を始める場合には、まず、フルタイムで音楽療法を提供する人材が確保できるかどうかが、大きな問題です。また、人材が確保出来たとしても、音楽療法が可能な日に、患者さんがそれを望んでくれなければ、全く意味がないのです。