近代音楽療法が誕生した背景
近代音楽療法が誕生したのは20世紀初頭のアメリカからでした。トーマス・ギルドの「治療音楽会」より近代音楽療法の大きなうねりが始まり精神病院で生活する人々に対して、篤志団体の慰問などが行なわれていました。そのような慈善的な慰問音楽活動のことを「治療音楽会」と呼んでいました。この慰問活動は、少人数の音楽家たちがグループを作り性差院病院を訪ねて音楽を演奏していたのです。
エヴァ・ヴェスツェリスは、アメリカで最初の音楽療法会を創始しました。音楽療法界はニューヨーク市治療協会という名称で1903年に創設されてました。彼女は依頼に応じて音楽の出前演奏をおこない音楽療法を試みました。音楽をの4種類に分類して症状に応じた音楽の使用を提唱したそうです。その4種類の音楽とは@tonic(強心剤), Astimulant(刺激剤),B sedative(鎮静剤),四 narcotic(催眠剤)です。このような彼女の考え方は、ポドルスキーに受け継がれて音楽治療の1つの流れとなりました。
実は音楽療法が発展した要因のひとつは戦争です。ヴァン・デ・ウォールはWillem Van de Wall−メトロポリタン歌劇場のハープ奏者なのですが第一次大戦中に海軍バンドに参加することによって音楽のもつ力を実感して音楽を精神的に病む人達の治療と予防に役立てることを決心したそうです。
精神病院の音楽部門の目的としては患者のなかに潜伏して禁止されたまま利用されていない心身の力を賦活したり患者の人格的な荒廃をできるだけ防いで他の治療法とあわせて人間的かつ社会的な統一体として患者たちが再び働けるように、エネルギーの再分配を計ることというように精神病者の社会復帰に貢献することを目的としました。